エネルギー効率の高いAIへの共通のコミットメント
半導体業界にとって、今は刺激的な時代です。私たちは、AIを活用して日常生活の多くの側面を再構築し、改善することで、人類史上最も変革的な変化の一つを推進しています。AI搭載の画像診断による早期疾患発見や、定型業務の自動化など、AIは私たちの生活、コミュニケーション、働き方を根本的に変えています。
私たちの周りでは、AIの急速な普及により、高性能コンピューティングに対する前例のない需要が高まっています。これは、データセンターでのトレーニングと推論、そしてよりスマートなAI対応デバイスを介したエッジの両方で発生しています。しかし、この大規模なコンピューティングのスケールアウトは、電力供給と、それに伴う熱の発生と管理という現実的な課題に直面しています。
それは数字が明確に示しています。1つのパッケージにより多くのロジック回路を統合した結果、個々のAIアクセラレータユニットのパッケージあたり消費電力は過去5年間で3倍に増加しました。また、直近3年間で導入されたダイベースユニットの数が8倍に増えたことを合わせて考えると、電力需要の指数関数的な増加が続く中、エネルギー効率がAIの継続的な普及の鍵であることは明らかです。この「電力の壁」を、一企業だけの努力や単一分野への集中だけで克服することはできません。むしろ、半導体エコシステム全体で共にイノベーションを推進し、AIイノベーションを可能にする基盤であるロジック半導体技術とパッケージング技術の進化に重点を置くことで、AIのブレークスルーを加速させる必要があります。
協業という観点では、今年北米で開催されたOpen Innovation Platform® (OIP) フォーラムに、エコシステムパートナーや顧客を含む約2,000名の設計コミュニティのメンバーが参加しました。
TSMCのR&DおよびDesign Technology Platform担当バイス・プレジデントで、シニア・フェローの Dr. L.C. Lu は、TSMCの先端ロジックおよび3DFabric®先進パッケージ技術を活用し、複数の領域にわたる強固かつ継続的な協業を通じて、AIに向けたエネルギー効率の高いコンピューティングを可能にするという核心的な考えを詳しく説明しました。次世代のバックサイド電源供給ネットワーク、標準セルやSRAM設計のためのDesign-Technology-Co-optimization(DTCO)、そしてCompute-in-Memory(CIM)技術のスケーリングといった分野のイノベーションがそれぞれに貢献し、相乗的にエネルギー効率に優れた設計を増幅させることを強調しました。
さらに、AIプロセッサは極めて短い間隔で大量の電力を必要とし、顕著なLdi/dtノイズを発生します。Dr. Luによる、組み込みディープトレンチキャパシタ(eDTC)やMIMキャパシタ(UHPMIM)の進歩をはじめとするシステムレベルのイノベーションにより、電源の品質を損なうことなく電力密度を50%増加することが出来るという説明を、私たちは嬉しく思います。
AIのスケーリングには、メモリ容量の拡大とアクセス帯域幅・レイテンシの改善という、さらに2つの重要な課題があります。TSMCでは、これらの課題に対応するため、3DFabricエコシステムが全体で協調してイノベーションを提供できるようにしています。Dr. Luは、ファウンドリのロジック技術を活用して、エネルギー効率を 1. 5 倍から 2 倍に高める革新的なアプローチを強調しました。具体的には、HBM4設計のロジックベースダイにTSMCのN12プロセスを、カスタムHBM4E設計にTSMCのN3Pプロセスをそれぞれ用います。
相互接続のボトルネックに対処するには、将来のAIシステムにおける低消費電力・低レイテンシ・高信頼のデータ通信を可能にするCo-packaged Optics(CPO)のイノベーションが鍵となります。その観点では、TSMCのCOUPETM技術が、インターポーザベースのインテグレーションにより、電力効率を5~10倍、レイテンシを10~20倍改善し、よりコンパクトなフォームファクタを実現します。
最後に、Dr. Luは、AI自体がAIチップの設計にどのように貢献するかを説明しました。実際に、AIの機能はすでにEDAツールにも組み込まれており、設計探索や、Power-Performance-Area(PPA)目標の達成、回路の最適化や、電気/光学協調設計と解析、そしてサブストレートのレイアウト作成を変革しています。TSMCとEDAエコシステムパートナーによる多面的なコラボレーションにより、お客様はより優れた設計と高い生産性を実現できるのです。
コラボレーションはOIPフォーラムの核心です。このイベントは、OIPエコシステムのパートナー各社が集まり、TSMCの技術をお客様に普及させてきた成果を称えあい、共に歩むための場でもあります。Dr. Luは、「エコシステムパートナーとの緊密なコラボレーションは、これらのイノベーションを実現するうえで非常に重要です」と述べています。
毎年、私たちのグローバルなOIPエコシステムは、北米、欧州、アジアで開催され、世界で750社を超える企業から5,000名以上の参加者が集まり、225を超える技術講演が行われます。今年のOIPフォーラムでも、基調講演、顧客・パートナーによる発表、そしてパビリオン展示を通じ、OIPエコシステムによる持続的で深い連携が強調されました。これらの共同の取り組みにより、エネルギー効率の高い製品設計の開発が加速し、堅牢なAIエコシステムが強化され、半導体イノベーションの限界をさらに押し広げ、次世代のAIを実現する原動力となっています。
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